『男のワードローブの基本のキ』
今年の春にリリースしすぐに完売してしまったAlgernonの新型ジャケットBenjamin。今までのSHINYAとAlgernonでリリースしてきたどのジャケットよりもゆったりとしたサイジングで、ブランド的にはOVERSIZE JACKETと銘打ってはいるものの決して大きすぎることはなく、他のファッションブランドのオーバーサイズジャケットとは明らかに立ち位置が異なる。この程良いゆとりのシルエットはカジュアル着としてだけでなく、オンの日でも着ていけるというお言葉を多数の購入者から頂戴した。僕自身はTPOやカテゴリを横断して着回せる服が大好きなので、その意味でもオンオフやTPOを問わずに着回せるこのBenjaminというジャケットに手応えを感じている。
Benjaminは有難いことに完売後も問い合わせが多かったので、少し前から別生地でのリリースをデザイナーと企画していて、今回はネイビーブレザーとしてリリースすることにした。



昔から僕のことをご存知の方はご存知かもしれないが、僕はトラッドスタイルがあまり好みではない。一時期『クラシック最高!トラッドこそ至高!昔からある定番品にこそ価値がある!』といった環境で働いていたことがあり、その中では多くの人が当たり前のようにクラシックな装いに身を包んでいた。所謂『王道』と呼ばれるスタイルを歴史解釈や服飾史の観点から読み解くこともせずに、『みんなが良いと言っている物は良いよね』という価値観の下で、定番のブランドの定番のアイテムのみを選び、誰も彼もが似たような格好をしている姿を目にしていた反動から、僕は『王道的な着こなし』に強い拒絶反応を抱いている。
当初デザイナーからBenjaminの新型をネイビーブレザーで提案された際にも即座に『嫌だ』と反論したが、紆余曲折はあったものの、今こうしてリリースに至っている。何故か。1番の理由は26SSのパリコレミラノコレの影響で、昨年から兆しがあったトラッドスタイルが本格的に復権しそうな手応えを感じたのが一番の理由だ。コレクションでトップメゾンが提案してくれたトラッドスタイルは、僕の知っている型に嵌った王道のそれとは異なり、もっと自由で、もっと開放的な雰囲気を存分に振りまいていた。『これなら着ても良いかも』と思えるネイビーブレザーもいくつか目にして、その軽やかな装いはトラッドスタイルに拒絶反応を示している僕ですら、少なからず惹かれるものがあった。




トレンドと関係なく、クローゼットの永久定番としてネイビーブレザーを挙げる男性は少なくないだろう。スーツほど畏まることなく着用出来て、かつスーツ程堅苦しい印象を相手に与えないネイビーブレザーは、TPOやカテゴリーに縛られることなくスタイリング出来る汎用性の高さも持ち合わせている。その絶対的な王道感を全面に楽しむことが出来るようにこのBenjaminは仕上げてもらっているが、もう少しカジュアルに着たとしても補完してくれる絶妙のサイズバランスで着地させている。『大きすぎないオーバーサイズ』という、巷で探すと意外と見つからないこのバランスの一着を探していた人も少なくないはずだ。世の中に数多ある王道のブランドの王道のネイビーブレザーとは少し違う立ち価値観で仕上げてもらった。




王道のボタンダウンシャツやレジメンタルタイにチノパンを合わせたアメトラスタイルを楽しむことも出来るし、僕みたいにトラッドがあまり得意でない人はフリースやトラックジャケット、パーカーと合わせても良いと思う。Benjaminは程良くゆとりを持たせたサイジングなので、インナーの制約はある程度緩和される筈だ。
ネイビーブレザーは通年で使用出来るアイテムだからこそ、夏はバンドTや派手色のリンガーTと組み合わせて着ても面白いと思う。パンツはスラックスが王道かもしれないが、デニムや軍パン、スウェットパンツなどと合わせてもバランスが取れる。王道のアイテムだからこそ個人個人の主義主張に合わせて幅広いスタイリングに対応可能だ。ファッションは自由だし、個人の趣味嗜好が透けて見えるスタイリングが一番洒落ていると僕は思っているので、ルールや価値観に縛られることなく楽しんで着てもらえればとても嬉しい。




どんな服に合わせてもシルエットと生地感で品の良さは担保したデザインになっているのはいつも通り。この辺りの塩梅はデザイナーが例の如く上手く着地させてくれている。この撮影の日のようにリンガーTやウエスタンシャツ、着古したM-47パンツと合わせても纏まってくれるので、きっと想像している以上にこのネイビーブレザーはスタイリングの間口が広い。
王道のアイテムであって、でも王道のそれとはほんの少しだけ違う匙加減で仕上げた新型ブレザーが、もう間も無く発売となる。ご期待下さい。

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