実家とAlgernonとチェックシャツと

『実家のテーブルクロスみたいな柄だね』

 

秋冬の新作第一弾として新型のチェックシャツRobertaをリリースする。背面にたっぷりとギャザーを入れた一着をデザイナーのタケダシンヤに作ってもらった。個人的に所有しているコレクションをよりブラッシュアップして着やすくしつつ、『ここがこうだったら良いのに』を改善して、より良いものに昇華させていくのは今までのAlgernonの服と同じだ。今っぽく着ることが出来ることと、トレンドに流されずに長年愛用出来るプロダクトの強度という相反する要素を絶妙な匙加減で仕上げてもらった。あとはお手入れが楽なのもいつも通り。この塩梅の服が結局は一番着るし、ずっとクローゼットに残り続けることを実体験として知っているから、尚のことこのチェックシャツRobertaはお勧めしたいと思える。

 

ギャザーシャツのフェミニンな印象を出来るだけ払拭したかった。フランス古着でよく見かけるギャザーシャツだとギャザー量が多すぎる。でも控えめにギャザーを入れたところでそれはギャザーシャツと言えるのか(いや言えない)。だからギャザー量の調整だけでなく、生地やシルエットでフェミニンの対象となるマスキュリンな要素を足し算していき全体のバランスを取っていった。

 

先ずは生地だ。今回のチェックギャザーシャツは黒と赤の2色展開だが、それぞれで異なる生地を選んでいる。黒がコットンシルク生地。表面にシルクネップが付いたふわふわとした肌あたりのものだ。赤はコットンタイプライター生地で、こちらは反対にパリッとした肌あたりを楽しんでもらえるようにした。正反対の生地だが、どちらもメンズ服の中ではかなり王道なものだ。まずは生地で男性的な要素を加えている。

 

シャツの型に関してはAlgernonで去年からリリースしているMakishimaをベースにしている。Makishimaは程よく落とした肩幅とゆったりとした身幅が特徴のシャツで、ボックスシルエット気味のベーシックなシャツだ。このMakishimaのシルエットを踏襲しているので着る人を選ばず、ギャザーシャツにありがちな『着丈が長い。身幅も広い。ただデカい』という着辛さもクリアしている。何も考えずにサラッと着流すくらいの塩梅で丁度良い。

 

 

 

生地の柄についても僕たちの好みを反映させつつも、今の時流に合うものを選んでみた。現在ヨーロッパでは26SSのコレクションが披露されているが、恐らくこれからはトラッドな服のトレンドがより顕著になってくると思われる。だからこそチェックシャツは使える。一枚で着てもトラッドなスタイルに振れるし、ブレザーやミリタリーアウターのインナーに着て80年代のニューヨーカースタイルを興じても良い。何よりチェックシャツの良いところは、取り敢えず着ておけばスタイリングがお利口に纏まるところだ。楽して着れて楽しているように見えない服が一番良い。

 

 

チェック柄を選ぶ際に意識したのがカントリー感だ。生地で見たときはそこまで意識していなかったけれど、実際に仕上がってきたサンプルを見てみたら想像以上に牧歌的だった。イメージとしては実家のテーブルに敷かれているテーブルクロス柄。あまりにも平和なイメージで笑みが溢れる。フェミニンな要素なギャザーシャツに、生地とシルエットでマスキュリンな要素を加え、そこにチェック柄で牧歌的な和やかさをプラスしてみた。あくまで個人的な体感値にはなるが、こうした複数の要素が喧嘩せずに調和している服は探すとなかなか見つからない。そして複数の要素がある服は要素の数だけ合わせやすいスタイリングが増える。つまりは使いやすい服だということだ。

 

 

いつも通りイージーケアの素材を選んでいるので家庭で簡単に洗濯できる。生地の風合い的にノンアイロンでも楽しめるので、僕はアイロンがけはせずに着ていこうと思う。洗うたびに体に馴染み育っていくのも同じだ。ぜひ5年10年と着続けてエイジングさせてほしい。クローゼットに残り続ける一着に仕上がったと思う。楽しんで着てもらえらた嬉しい。